
水槽の掃除屋として、コリドラスとともに人気の、ミナミヌマエビとヤマトヌマエビ。
ともにヌマエビ科の生き物ですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。比較してみたいと思います。
ヤマトヌマエビのミナミヌマエビの見分け方は体長や気性など
この2種類、一体どこが違うのでしょう? 違いを思いつく限り抽出してみます。
体長が違う
すぐに判るのは体長の違いでしょう。ヤマトヌマエビは凡そ体長5cm(振れ幅としては3cm~6cmといったところ)で、ミナミヌマエビは2cm~3cmほどです。ヤマトヌマエビの方が大きいという違いがあります。
繁殖できる水質が違う
ミナミヌマエビは完全に淡水で生息しますが、実は、ヤマトヌマエビは違います。ヤマトヌマエビは、鮎と同じ生態なのです。両側回遊型と呼ばれるタイプで、幼生時は川から海へ下って生活をし、成長して川へと帰ってきます。
従って、ヤマトヌマエビ水槽で繁殖させるのがほぼ不可能、という違いがあります。流石に、自宅で汽水域の水質を再現するのは困難でしょう。一方、ミナミヌマエビは、その繁殖力もあり、水槽でも繁殖可能です。
気性が違う
この2種では、気性も違います。ミナミヌマエビは非常に大人しいですが、ヤマトヌマエビは攻撃的です。従って、ヤマトヌマエビは、メダカやコリドラスといった小型な魚と一緒に混泳させると、これらを攻撃する傾向にあります。
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの混泳は可能か?
ヤマトヌマエビとミナミヌマエビを同じ水槽で混泳させることは可能でしょうか?
結論から申しますと、ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの混泳は問題ありません。
寧ろ、一緒に混泳させる魚の方を注意した方が良いでしょう。
例えば、ミナミヌマエビはメダカとの相性が良いですが、ヤマトヌマエビはメダカを襲うので難しいです。金魚と一緒に飼う場合は、ヤマトヌマエビ(ただし大きめ)は大丈夫ですが、ミナミヌマエビは捕食対象となってしまいます。
両種と相性のよい魚については、こちらの記事でも触れていますので、良かったらあわせてご覧ください。
従って、水槽をヌマエビづくしにするというのもアリだと思います。
水槽サイズと餌やりに注意しヤマトヌマエビとミナミヌマエビの共存を
ただし、手放しに混泳可能というわけではありません。見解として、次の二点には注意が必要だと思います。それは、水槽と餌やりです。
くどいですが、ヤマトヌマエビは攻撃的です。従って、ミナミヌマエビを、空腹なヤマトヌマエビに過度に近づけない工夫は、少なくても必要です。
ヤマトヌマエビへの餌やりを忘れずに
基本的には混泳可能と言っても、空腹状態のときに、食べられるミナミヌマエビが近くにいたら・・・。ミナミヌマエビが捕食される光景は想像に難くないでしょう。ヤマトヌマエビを飢餓状態にしない努力は、基本的なところとして行っておきましょう。
小さい水槽では飼わない
また、成体は問題なくても、卵や稚魚が餌食になることは考えられます。90cmサイズの大型水槽をベストとする見解もあるようですが、部屋のスペースに限りがあったり、賃貸物件だったりなど、住まいに制約があることもあるでしょう。従って、ベストではなくベターな選択を心がけると良いでしょう。
広ければ広いほど、自然と近い環境になるため、共存にも問題がなくなるのは間違いありません。ですが、先述の現実問題を踏まえますと、できれば60cm、難しければ45cmサイズといった心構えでどうでしょうか。もっと言うと、30cmサイズのような小さい水槽は避けましょう、と言ったところです。
まとめ
1.ヤマトヌマエビとミナミヌマエビは、体長や気性の違い以外でもあり、ヤマトヌマエビは鮎と同じ両側回遊型な点が大きく異なる。従って、ヤマトヌマエビは飼育での繁殖が困難。
2.ヤマトヌマエビとミナミヌマエビの混泳そのものには問題はない。
3.より両種を問題なく混泳させるために、ヤマトヌマエビを空腹にしないことと、小さい水槽では飼わないことには注意する。