
味噌汁の具や冷ややっこ、そして麻婆豆腐など、様々な料理で使われる豆腐。人間にとって貴重な植物性のたんぱく源でもあります。スーパーで買おうとするたびに悩まされる、木綿豆腐と絹豆腐の違い。鶏むね肉と鶏もも肉くらい、違いがハッキリしてれば良いのですが、豆腐のこの違いは、わかっているようで意外とわかっていない人もいるのではないでしょうか。
今回は、豆腐について、木綿と絹の違いを中心に紹介していきます。
木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いは製法ではなく食感
木綿と絹・・・なので、これらの豆腐の違いは、製造工程において各々を使うからだと考えている人も多いようです。しかしそれは、半分正解で半分外れです。
なぜなら、絹ごし豆腐の方は、製造の際にまったく絹を使っていないからです。では何故呼び名が違うのか?というと、理由はその食感です。
それぞれの製造工程とあわせて、具体的に紹介していきます。
木綿豆腐は箱に木綿を敷いて製造する
木綿豆腐は、読んで字のごとく・・・といって良いでしょう。
底に水抜けるよう穴が開いている木箱に木綿を敷きます。
まず、豆腐に凝固剤を加えて固めます。木綿豆腐の場合は、固まったら一旦それを崩します。崩したものに圧力をかけて水分を絞り出したうえで、再び固めるのです。この際に当てがわれた木綿の縫い目が、木綿豆腐の表面についているわけです。
絹ごし豆腐はその食感を絹に例えられてついた名称
一方、絹ごし豆腐は、箱に絹の敷物は使いません。木綿豆腐と違い、底に穴の試空いた箱も使いません。
木綿豆腐よりも濃度の高い豆乳に凝固剤を加え、そのまま固めて作られる豆腐です。食べた際の食感がツルっとしていて、まるで絹で濾されたかのようなのを例えて、絹ごし豆腐となったわけです。
木綿豆腐と絹ごし豆腐では栄養価も異なる
木綿豆腐と絹ごし豆腐に、その他の違いはあるのでしょうか。例えば、栄養価はどうでしょうか。日本豆腐協会の公式サイトよると、次のような違いがあるようです。
もめん豆腐は、製造過程で水分をしぼるために、栄養分が圧縮されます。そのため、たんぱく質、カルシウム、鉄分が、きぬ豆腐に比べると2、3割多く含まれています。
しかし、水分をしぼることによって、ビタミンB類やカリウムが水分と一緒に流れ出してしまいます。このため、ビタミンB、カリウムはきぬ豆腐の方に多く含まれています。
つまりは、
・より「たんぱく質」「カルシウム」「鉄分」を摂りたい⇒木綿豆腐
・より「ビタミンB」「カリウム」を摂りたい⇒絹ごし豆腐
というわけですね。
豆腐は歴史ある食材なだけあって調理法も様々
豆腐は、とても歴史がある食べ物でもあります。豆腐の製法自体は、奈良時代(西暦710~784年)に中国へ渡った遣唐使により伝えられたとされています。豆腐そのものもの発祥は中国で、その起源は、紀元前2世紀とされています(注:諸説あり)。
だから中華料理には、麻婆豆腐など、豆腐を使った料理が多いのでしょう。
日本で豆腐が本格的に広まったのは「豆腐百珍」が出版された江戸時代
実は、豆腐が本格的に市民権を得て広まったのは、奈良時代よりもだいぶ経った江戸時代になってからです。1782年(天明2年)でた「豆腐百珍」という出版物がきっかけとされています。
この豆腐百珍という本は、豆腐の普及のきっかけとなっただけではなく、今でいう料理本の先駆けともなった出版物のようです。現在でいうところのベストセラーとなり、それがきっかけで、翌年、翌々年と立て続けに続編が出版されました。
木綿豆腐は火を通し絹ごし豆腐はその食感を活かした調理法が一般的
最後に、それぞれの調理法についてです。一般的には、その食感と堅さから、木綿豆腐は火を通した調理(焼く、煮る、揚げるなど)に、絹ごし豆腐は、冷ややっこやサラダなど、素材をそのまま活かした調理に適しているとされています。みそ汁の場合は、好みがそれぞれ・・・といたところでしょうか。
ただ、これも、「ねばならない」わけではありません。木綿豆腐で冷ややっこを作るのもアリですし、型崩れの心配はありますが、絹ごし豆腐で煮ものを作るのもアリでしょう。ベストは、自分の好みに基づいた選択と言えるでしょう。
2種類の豆腐をブレンドしてみるというのも面白いかもしれませんね。
まとめ
1.木綿豆腐と絹ごし豆腐の違いは製法ではなく食感
2.木綿豆腐と絹ごし豆腐では栄養価も異なる
3.豆腐が日本で本格的に広まったきっかけは、江戸時代の出版物「豆腐百珍」
4.木綿豆腐は焼き物や煮物、絹ごし豆腐は冷ややっこやサラダに使われるのが一般的だが、それも好みに合わせて