
魚肉ソーセージやサラミ、ハムなどを包んでいるビニールみたいな素材。魚肉ソーセージを包んでいるものだと、いかにもビニール素材な感じですが、サラミやハムなどは、少し質感が違うようにも見えます。
今回は、あの、ビニール状の素材の正体と、使われている理由について紹介します。
ソーセージなどを包むビニールっぽい素材の正式名称は「ケージング」
実は、あのソーセージやハムなどを包む素材には、れっきとした正式名称があります。「ケージング」と言います。ビニールではないのですね。
ケージングには天然ケージングと人工ケージングがある
ケージングは、ソーセージに使われている「天然ケージング」が、どうやら始まりのようです。
元々ソーセージは、豚や羊の腸に、ひき肉と脂などを詰めて、燻製させて作っていた加工食品です。
つまり、ソーセージを詰めるために使われる、豚などの腸を使った袋のことをケージングと呼んでいたのですが、文明の発展に連れて、たんぱく質を使用したコラーゲンや、人工繊維、ビニリデンやポリエチレンなど、様々な種類が出来てきました。
そこから、従来のように豚などの腸を使ったものを「天然ケージング」、後からできた、化学製品などを使ったものを「人工ケージング」と呼んで区別するようになったのです。
人工ケージングには食べられるものと食べられないものがある
「人工ケージング」も、使用素材によって特性が異なります。簡単に分けると、以下のようになります。
①コラーゲン系
たんぱく質成分なので食べられます。ホットドッグで使うソーセージのケージングとして使われることが多いようです。
人工ケージングを使っている(安定した成形ができる)から、ホットドックのソーセージは曲がっていないわけですね。
②塩化ビニリデン、ポリエチレン系
魚肉ソーセージなどで使われます。最も、ビニールっぽい感のあるケージングです(現在の定義だと実際にビニールなわけですが)。食べて毒となるわけではありませんが、可否でいうと、食べられません。
③セルロース系
最後が、不溶性の食物繊維を使ったケージングです。いわゆるセルロースなどですね。 サラミやハムを包む素材として使われるケースが多いです。
サラミを人工ケージングで包む理由
実はサラミも、本来はソーセージと同じように、天然ケージングを用いて作られていました。従って、人工ケージングでなければいけないわけではありません。ですが、人工製を使う理由は大きく4つあるようです。
1つ目が製品の形態を安定させること、2つ目が燻煙に必要な透過性に優れていること、3つ目が強度の高さ、そして最後の理由が、衛生管理のしやすさのようです。
基本的には無害なようなのですが、天然ケージングでサラミをつくる場合、燻製段階でケージングがカビで覆われてしまうようです。いくら安全、とは言っても、やっぱりカビが生えていると不安でしょう。ですので、形状安定と作りやすさを兼ねて、人工ケージングを使うサラミが増えてきたのが歴史のようです。
実は手ごろに入手できる「ケージング」
筆者も、今回の記事を執筆するまでは、実はその言葉すら知らなかったケージングですが、非常に専門性の高いものかと思ったら、どうやらそうでもないようです。普通にオンライン通販サイトで販売していました(笑)
こういう具合に、手ごろな値段で買えるようです。
いわゆる「おうち時間」が増えている昨今ですから、ソーセージやサラミを自宅でつくってみる、なんてことも面白いかもしれませんね。
まとめ
1.ソーセージやサラミ、ハムなどを覆っているビニールっぽいものは、ビニールではない。ケージングという呼称がある。
2.ケージングには、天然ケージングと人工ケージングがある。
3.元々は、豚や羊の腸でつくる天然ケージングが主流だったが、文明の発展や経済効率の面などから人工ケージングが台頭してきた。
4.ケージングはお手頃価格で購入可能。