
「水槽の掃除屋」の異名を持ち、水槽の下層ポジションを飾る生物として人気があるヌマエビとコリドラス。今回は、この似た者同士の違いなどについて比較してみたいと思います。
ヌマエビとコリドラスに違いはあれど明確な優劣は付け難い
ミナミヌマエビやヤマトヌマエビに代表されるヌマエビ系と、コリドラス。「水槽の掃除屋」としてより優秀なのは、どっち?
気になる人は意外に多いと思います。
筆者の独断と偏見で申し上げれば、その回答は、優劣付け難い。となります。正確に言えば、求められる条件によって、良し悪しが変わってくるため、甲乙が付け難いのです。
では、どのあたりが違ってくるのでしょう。思い当たるものをピックアップしてみました。
●ヌマエビ
・下層に沈殿した餌や、魚のフン、場合によっては死骸も奇麗に掃除してくれる。
・水草を食べる。アオミドロ(※)などの、害になるのを食べてくれる一方、水草を食べ過ぎて食害になることも。
・夜行性。
・水質変化に敏感。
●コリドラス
・下層に沈殿した餌を食べてくれる。
・水草は食べない。
・昼行性。
・幼魚のうちは水質変化に敏感だが、水合わせをし成魚になれば比較的耐性アリ。
(※)アオミドロについてはこちらをご覧ください。
ざっと、こんなところでしょうか。
筆者が、決断力に欠けるためかもしれませんが、バッサリとは優劣を決められないのです。
例えば、過去にアオミドロの大量発生で悩んだご経験があれば、ヌマエビ系の方が良いでしょうし、幼魚を襲われたり、水草の食害リスクを負いたくない人は、コリドラスの方がおすすめ。といった具合です。
そういった意味では、飼い主さんの力が試されると言えるでしょう。また、その辺が、飼育の醍醐味なのかもしれません。
コリドラスとヌマエビとの混泳はポジション被りを起こす
お互い優れた点が違うなら、半分ずつくらい混ぜて住まわせればいいじゃないか。なんて思ってしまいます。筆者もそう考えました。
ですが、コリドラスとヌマエビの混泳はやめておいた方がいいようです。スポーツでいうところの、ポジションが被る、という現象が起きてしまいます。(別に、音楽バンドなど、ほかに色々例えはありますが・・・)
2種類とも、水槽の下層で生きていて、生態が似ているので、共存というよりはバッティングしてしまう面の方が大きいのです。
それでも飼いたい、という人は、次のような注意というか覚悟が必要でしょう。
コリドラスに餌を与える過程で水質悪化を招く恐れがある
コリドラスは、基本的に餌を食べるのが上手ではない魚です。一方、ヌマエビは機敏に動け、餌を食べるのがコリドラスに比べて上手です。生活エリアが重なるため、餌の取り合いにしばしばなりますが、餌の取り合いはヌマエビの一方的勝利で終わることが殆どです。ヤマトヌマエビのコリドラスの混泳は、特に難しいでしょう。
コリドラスに餌を与えすぎることを意識しすぎてバランスが崩れる恐れも
コリドラスは、餌を食べなければすぐ弱ってしまい、病気にかかりやすくなります。そのため、餌をあげなければなりませんが、そうそう上手く適量で終えることはできません。餌が余ってしまえば、それが原因で水質悪化を招くでしょう。
また、コリドラス用の人工餌は要注意です。雑食性のヌマエビが、より簡単に食べられる餌の味を覚えてしまい、苔を食べなくなるケースがあります。そうなると、水槽掃除を目的にヌマエビを飼った場合、元の木阿弥になってしまいます。
コリドラスがヌマエビおよび卵を食べてしまう
ヤマトヌマエビなら問題ないでしょうが、小型のミナミヌマエビの場合、コリドラスが意図せずに口の中に入ってしまい、そのまま捕食・・・というリスクがあります。また、ミナミヌマエビの卵が犠牲になるケースもあるでしょう。
ミナミヌマエビが巻き込み事故に合わないよう、水流の妨げにならない程度に、ミナミヌマエビが隠れられる場所を確保しましょう。そうすれば、繁殖も問題なくできるようになるはずです。
まとめ
1.水槽の掃除屋としては、ヌマエビもコリドラスも優秀で甲乙つけがたい。飼い主の困りごとにあわせて選択すると良い。
2.強いて言えば、アオミドロなどなどの苔を食べてほしいならヌマエビ、昼間もより元気に動くのをみたいならコリドラスがオススメ。
3.コリドラスとヌマエビの混泳は、基本的には難しいが、敢えて混泳させるならヤマトヌマエビではなくミナミヌマエビが良い。