不織布マスクの素材はポリプロピレン!紙やガーゼとどう違う?

ドラッグストアなどでマスクを買おうとすると、パッケージの表示によく書いてある「不織布」という文字。解ったような、解らないような単語なのですが、一体どのようなものなのでしょう?

不織布マスクに使用されている素材は基本ポリプロピレン

不織布マスクを説明する前にまず、不織布について説明が必要でしょう。不織布とは、簡単に言えば、繊維を追わずに絡み合わせたことで出来たシート状のものとなります。不織布マスクとは、その不織布を素材としてつくられたマスクということになります。マスクの場合、素材はポリプロピレン(またはポリエチレン)が使われています。

マスクに使われている不織布はポリプロピレン素材が殆ど

ポリプロピレンは、簡単にいえばプラスチックの一種です。

正確には、プロピレンという炭化水素の一種を重合させ、加熱することによって人為的につくられた樹脂のことを指します。

ポリプロピレンは、その耐熱性の高さや耐薬性の高さが特徴です。また、吸湿性が無いことから、生理用品の素材などとして重宝されています。

大量生産が可能な点が不織布最大のメリット

現代において、ポリプロピレン素材の不織布はだいぶ普及しているわけですが、その最大の理由が、大量生産しやすいことです。単純に考えて、撚らなくていいですからね。そのように考えると、基本的に使い捨てという欠点はありますが、布マスクよりも普及してきたのは自然の流れかもしれません。近年の花粉症流行もその流れに拍車をかけたようで、いまでは、生産されている家庭用マスクの9割が不織布マスクなのだそうです。

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不織布マスクは紙マスクと言われがちだが実は違うもの

不織布マスクは紙マスクと思われがちですが、実は違うものになります。先述のように、日本で生産されているマスクの9割が不織布マスクなので、そもそも今の日本において紙マスクは無いに等しいわけです。

ポリプロピレン素材は紙と名の付くものが多く使われている

ですが、多くの人は不織布マスクのことを紙マスクだと思っているのではないでしょうか?

ポリプロピレン素材で出来た不織布マスクは、なぜあたかも紙みたいな肌触りなのでしょう。それは恐らく、ポリプロピレンが、知らぬ間に生活に溶け込んでいるからなのでしょう。

例えば、マスクと同じように、「紙」という単語がつく紙おむつや生理用品もまた、ポリプロピレンを素材とした不織布でつくられています。さらに言えば、ポリプロピレンは紙幣にも使われています。

このように、ポリプロピレンは、「紙」と名前がつくものの素材として、既に浸透しているわけです。だから、いつの間にか感覚が逆転してしまい、実はポリプロピレンの感触なのですが、それが紙の感触であるかのように錯覚してしまっているのでしょう。

不織布マスクの廃棄は「燃えるゴミ」で

不織布マスクの元となる素材がプラスチック、という文字面だけみると、使用済みの不織布マスクは燃えないゴミで処理しないといけないような気がしませんか?

ですが、それは誤りです。不織布マスクを捨てる際は、燃えるゴミで出しましょう。

昨今の新型コロナウイルスしかり、不織布マスクの表面にはウイルスが付着している可能性が高いです。ゴミに出す際は、ゴミ袋をしっかりと縛り、ゴミ出し後は手洗いまたは手指の消毒を欠かさないようにしましょう。

不織布マスクとガーゼマスク(布マスク)はどう違う?

最後に不織布マスクとガーゼマスクの違いについてです。使い捨てタイプか何度も使えるかという違い以外に、何か違いはないのでしょうか。

ウイルス流入防止目的なら不織布マスクが断然オススメ

結論をいうと、ウイルス流入防止という意味合いにおいては、不織布マスクに敵う種類は無いでしょう。元々、不織布マスクはサージカルマスクとも言われるように、本来は医療用として使われていたくらいですし。

不織布マスクは吸い込み飛沫量を70%カットできる

日本が誇るスーパーコンピュータ「富岳」によるシミュレーションで、不織布マスクの優秀さが明らかになってきました。不織布マスクは、吐き出し飛沫量であれば80%、吸い込み飛沫量は70%を遮断できるのです。

布マスクは、吐き出し飛沫量を66~78%カットし、吸い込み飛沫量は35~45%を遮断できることも、同時に明らかになりました。ウレタンマスクの場合は、吐き出し飛沫量が50%、吸い込み飛沫量は30~40%を遮断できます。

不織布マスクは、他の市販マスクに比べ、多くの飛沫量を遮断できることが解ってきたのです。

不織布マスクはウイルスの吸い込み量を50%に抑える

また、東京大学医科学研究所が、実際に新型コロナウイルスを使って実証実験した結果、不織布マスクを着けていると、吸い込むウイルス量を、マスク非着用時の約50%に抑えられることが明らかになりました。

医療用のマスクである「N95マスク」(10~20%に抑制)には及びませんが、布マスク(60~80%に抑制)に比べるとウイルスの吸い込み量が抑えられることも解ってきたのです。

保湿性に優れているガーゼマスクは肌に優しい

一方、ガーゼマスクの特長はその肌触りです。なにせ、ガーゼマスクは綿でつくられていますから。その素材感から、肌への負担が最も少ない種類のマスクと言えるでしょう。長時間マスクをつけていると肌が荒れるという方は、ガーゼマスクがよいでしょう。

また、ガーゼマスクは保湿性が高い特長もあります。したがって、高温高湿度の日の外出用としてはオススメできませんが、例えば、寝るときに喉を傷めないようにマスクを着けて寝る、という場合には、ガーゼマスクがよいでしょう。

まとめ

1.不織布マスクは紙ではつくられていない。ポリプロピレンという合成樹脂でつくられている。

2.ポリプロピレンは、不織布マスクのほか、紙オムツや生理用品、紙幣の素材としても使われている。だから、ポリプロピレン=紙という錯覚が生まれていると思われる。

3.不織布マスクは普及が進み、いまでは生産されている家庭用マスクの9割が不織布マスク。従って、紙マスクはもう存在していないに等しい。

4.スーパーコンピュータ「富岳」でのシミュレーションにより、不織布マスクは、布マスクやウレタンマスクに比べて、飛沫やウイルスを遮断する機能が大きく優れていることが解った。

5.ウイルス流入防止なら不織布マスクがベストだが、肌荒れ防止や喉荒れ防止という目的ならば、不織布マスクよりもガーゼマスクの方がベター。

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