
ベランダの床部分と洗濯物に、ネズミのフンのような形のニオイがきついフンが・・・。 それ、ほぼ確実にコウモリのフンです。
コウモリはポピュラーな哺乳類
実は、コウモリはポピュラーな哺乳類です。現在、世界でコウモリは約980種が報告されていますが、これは哺乳類の全種類の約25%に相当します。
日本においてもそれは同様で、外来種含めて130種類以上いるとされる哺乳類のうち、35種をコウモリが占めています。
日本のコウモリは人間の血は吸わない
コウモリというと、ヴァンパイアのイメージが強いのではないでしょうか?
確かに吸血コウモリは存在するのですが、それはチスイコウモリだけで、全体からみても3種類しかいません。
また、チスイコウモリは南米に生息するコウモリで、日本にはいません。
夕暮れ時に公園で飛んでいるコウモリは、アブラコウモリ
ふだんの生活で最もコウモリを目にするのは、夕暮れ時ではないでしょうか。公園やビル街の上空を飛んでいる様をよく目にすると思います。
実はあのコウモリは、十中八九、アブラコウモリという種類です。
アブラコウモリは、家屋をねぐらとする珍しいコウモリで、別名イエコウモリとも呼ばれます。
洗濯物やベランダのフン被害の主もまたアブラコウモリ
世の中には、洗濯物やベランダにおけるコウモリの(フンの)被害に悩まれる方も少なくないでしょう。上記のことから、その犯人はほぼ確実にアブラコウモリでしょう。
アブラコウモリは、1.5cm~2cm程度の隙間があれば潜り込むことができます。その特性を活かして、天井裏や、換気口、羽目板と壁の間などを寝床にするのです。
コウモリのフンが洗濯物についてしまう時間帯は夕暮れ以降
コウモリ被害でベランダが多いのは、先述のようなコウモリの寝床との関係です。
コウモリは、夜行性でかつフンを頻繁に排泄します。夕方から夜にかけ、寝床から外へと飛び立つ過程、または、活動を終えて寝床への戻る過程で、あなたの家のベランダにフンを落としてしまったのです。
洗濯物を取り込むのが夕方以降に遅れてしまった日には、洗濯物にフンがついてしまうという悲しいこともあるでしょう。言い換えれば、コウモリの糞が洗濯物についてしまう時間帯は、夕暮れ以降なわけですから、対策としては、夕暮れ前には洗濯物は必ず取り込むことに尽きます。
コウモリのフンは害虫の呼び水になるのと病原菌の温床であるのが危険
具体的に、コウモリのフンによる被害としては、どのようなことが考えられるでしょうか?
コウモリのフンはにおいがスゴイ
ひとことで言えば、ドブのニオイ+αの悪臭です。洗濯物につくと臭いが取れないでしょう。完全にやり直しです。
コウモリのフンは、大きさが0.5~1cmほどで、ネズミのフンに似た形をしています。特に繁華街だと見分けがつかないでしょう。判別するときは、その臭いです。ドブのような臭いがすれば、コウモリのフンです。
コウモリのフンはゴキブリやダニ、カツオブシムシなどの温床
コウモリのフンは、ゴキブリやダニなどを引き寄せます。
コウモリのフンにはダニが付着しています。そのダニを狙って、同じく夜行性のゴキブリが、コウモリのフンを食べにくる、という悪循環が起こってしまうのです。ゴキブリは学習能力が高い生き物ですので、あなたのベランダにエサがあると学習してしまうと、積極的に訪れるようになるでしょう。
コウモリのフンが原因で発生しうる害虫はこれらにとどまりません。カツオブシムシやゴミムシダマシなど、食料品や衣類に害を及ぼす害虫の発生源にもなるため、厄介なのです。
コウモリのフンは病原菌が多い
コウモリのフンは、感染症にかかるリスクをはらんでいます。これが、コウモリのフン被害で最も恐いことでしょう。よく言われる狂犬病の心配はないですが、その代わりに、ハンタウイルスや真菌(ヒストプラズマ症)を含んでいるため、それを原因とした病気にかかる危険性があります。
幸い、アブラコウモリのフンからは、現状では伝染病は確認されてはいないようです。
日本のコウモリはエボラウイルスの心配はない
コウモリでウイルスというと、エボラウイルスを心配する人もいるかもしれません。
ですが、結論から言うと、日本のコウモリにはエボラウイルスの心配はありません。同じコウモリでも、種類が違うからです。
エボラウイルスの原因とされるアフリカのコウモリは、オオコウモリ類ですが、日本の住宅街でよくみるアブラコウモリは小型コウモリであり、種類が違います。
コウモリは鳥獣保護法で勝手に駆除できない決まりになっている
最後に、コウモリにまつわる法律のことに触れて、今回は終わりにします。
それこそ、ゴキブリや蚊みたいに、自分でコウモリを駆除・・・と考える人も多いでしょう。ですが、それは違法になってしまいます。
コウモリは、鳥獣保護法の取り決めにより、一般生活者は勝手に駆除できない生物なのです。従いまして、一般生活者ができることは、駆除業者に頼むか、追い払うかの二択になります。
次回は、コウモリの追い払い方をテーマに、方法を紹介していきます。
まとめ
1.コウモリは哺乳類における全種類の約4分の1を占めている。
2.日本でベランダにおけるフン被害をもたらすのは、家屋を寝床にするアブラコウモリ。
3.コウモリのフンは、ゴキブリやダニ、そしてカツオブシムシなどの増殖リスクがある点と、ハンタウイルスや真菌を含んでいる点から危険。
4.鳥獣保護法により、コウモリを勝手に駆除することはできない。一般生活者が自分で対策を講じる場合には、コウモリを追い出すしかない。