警備員のための用語集 建設現場にはネコが通る?サルやウマもいる?

交通誘導警備の業務についていると、必然と建設現場や土木作業現場に配属されるわけですが、特に警備員になりたてのうちは、現場監督や作業員から発せられる言葉(用語)に戸惑うこともしばしばでしょう。

今回は、その中から「ネコ」という言葉について触れてみます。

建設現場や土木現場には「ネコ」がよく出る?

交通誘導警備の場合、建設現場や土木作業現場の入場ゲートの警備業務に配属されることもしばしばです。周囲の安全を注視していると、現場監督や作業員に「ネコが通るよ!」と威勢よく言われた経験ってありませんか?

声が張っていることも相まって、昼間の業務ならまだしも、人気がない夜勤だと、「なんだ?野良猫の大群か?」なんて思えなくもないでしょう(基本的にそんな誤解はないでしょうが)。

建設現場の「ネコ」とは工事用の手押しの一輪車(ネコグルマ)のこと

実はこれ、察しのように、野良猫の出現でも、現場で愛玩用に猫を飼っているわけでもありません。よく、作業員が手で押して運搬している、工事用の道具などを載せた一輪車のことを指しているのです。

なぜ一輪車はネコと呼ばれるの?実は諸説あり

ここで最大の疑問です。なぜ、あの把手付きの一輪車は、ネコと呼ばれているのでしょう。

ちなみに工事現場には、油圧ショベルのように、1つの物に複数の呼び方が存在する物も存在しますが、「ネコ」についてはそんなことは無いようです。

実は、なぜ「ネコ」と呼ばれるか?という疑問には、明確な回答がありません。諸説ありなためです。ただ、そうは言っても、有力とされているものはいくつかありますので、そちらを紹介していきます。

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ネコ」の由来として有力と思われる説は3つ

どうやら、手押しの一輪車(ネコグルマ)を「ネコ」と呼ぶのは、日本の工事現場特有であるようです。「ネコ」は、英語だと「wheelbarrow」という言葉になり、猫との関連性は全くありません。

いくつか有力な説は存在しますが、調べてみるとどうやら、中でも次の3つが有力なようです。

猫の丸まった姿と似ていることから「ネコ」となった説

最も有力なのがこの説です。ネコグルマ(猫車)は、使用していないときは逆さに伏せて置いておくのですが、その姿が、丸まって寝ている猫の形に似ていることから、工事用の一輪車のことを「ネコ」と呼ぶようになった。とされるものです。

猫のように狭いところも通れる様子を例えた説

次いで有力なのがこちらの説です。

猫というと、ブロック塀の上や路地の隙間など、狭いところも難なく歩いていきます。「ネコ」も同様に、狭い足場など、建設機材が通り抜けられないスペースでも難なく抜けられます。その軽快さを猫に例えて呼ばれるようになった、というものです。

ちなみに、細い板で作った狭い足場は「猫足場」とも呼ばれます。

ネコを運ぶ一輪車であることから「ネコ」となった説

「ネコ」は、ちょっとした道具を運ぶものとして使用されるほか、土木現場ですと土砂を運ぶ道具としても用いられます。

古代の日本において、海岸や河口で取れる砂鉄のことをネコと呼んでいたそうです。その流れから、山で取れる鉄鉱石のこともネコと呼んでいたそうで、これらを運搬する道具として使われていた手押しの一輪車が、「ネコ」と呼ばれるようになって定着したという説です。

他にも色々!「ネコ」の由来となった説

「ネコ」の由来となっている説は他にもあります。

昔は、漆喰を練った「練り子」を、この一輪車で運搬していたので、練り子が変化して「ネコ」と呼ばれるようになったという説や、手で押して運搬する際にゴロゴロと音が鳴ることから「ネコ」と言われるようになったという説などもあります。

休憩時間などに、ベテランの作業員に由来を聞いてみるのも面白いかもしれませんね。今回紹介していない説が出てくるかもしれません。

工事現場にはサルやウマも

工事現場で動物に例えられている道具は、「ネコ」だけではありません。実は、工事現場には「サル」や「ウマ」と呼ばれるものも存在します。流石に、十二支というわけにはいかないようですが。

「サル」とは、雨戸に取り付ける木製の固定具(雨戸錠)のことです。この由来ですが、猿が木の実などを手先で器用に掴んでいる様子を例えた、とされる説が有力なようです。

また、作業台のことは、その形を例えて「ウマ」と呼ばれています。

ネコと違って、サルやウマなら困惑する恐れはないでしょうが、配属された現場にて、これらの動物が呼ばれた時には、今回紹介した道具のことだと理解をしておくと良いでしょう。

まとめ

建設現場や工事現場には、特有の用語が溢れています。慣れれば理解できてくるものばかりですが、はじめは困惑するかもしれないので、疑問に思った単語があったら勤務終了後に調べておくと良いでしょう。

ネコは当たり前のように現場で出てくる単語ですから、特に知っておくようにしましょう。

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