
もしもの事故の時や、あおり運転の対策に有効なものとして装着する車が増えているドライブレコーダーですが、ドライブレコーダーの取り付けで違反になる場合がある事を皆さんはご存知でしょうか?
吸盤やサンバイザー用フックなどを使って、簡単に取り付けられる製品も多いのですが、フロントガラスに何かを貼ったり、取り付けたりするのは細かい規定が定められているので注意が必要です。
しかし、「細かい規定など分からない」や「ドライブレコーダーで違反になるなんて初めて聞いた」なんて人も多いと思います。
そこで今回はドライブレコーダーについて解説していきます。
ドライブレコーダーとは
ドライブレコーダーとは、車の中に設置する映像記録装置の事で、車内および車外の映像や音声、位置情報などを記録し、事故や車に関するトラブルを検証する時に使います。
最近では【ドラレコ】なんて略称で呼ばれるのが一般的ですが、似たものに【タコグラフ】というものがあります。
タコグラフの場合は走行距離や運転時間のみ記録されるものなので、車内外の状況までは記録されません。
また、自動車メーカーの標準装備による【イベントデータレコーダー(EDR)】もドライブレコーダーとよく似た役割を示します。
このイベントデータレコーダー(EDR)は、アクセルワークやブレーキングなど車両制御の情報を記録する事を目的とします。
これに対しドライブレコーダーは、映像記録を残すことが主目的で、2019年8月の常磐道あおり暴行事件においてドライブレコーダーの映像記録が公開され、事件を解決に導いた事で改めてドライブレコーダーの必要性が重視され、一般ユーザーにも広く広まっています。
ドライブレコーダーを装着するメリット
ドライブレコーダー装着の最大のメリットは、事故発生時の客観的な状況証拠として、警察に提出できるところです。
交通事故などのトラブルに遭遇した時に、相手によっては強引な言いがかりをつけて逃げようとする人がいたり、警察による誤認検挙なども無いとは言えません。
そのような時に、ドライブレコーダーの記録を証拠として提出する事ができ、強引な言いがかりや誤認検挙を防げます。
また、運転手不在時の駐車場でのトラブル対策にもなり、車上荒らしや当て逃げにも反応し作動するので安心です。
ドライブレコーダーのタイプ
ドライブレコーダーを機能的に大別すると3種類、形状としては2種類に分類できます。
もっとも普及して主流となっているのが、エンジン始動と共に電源がオンとなりエンジン停止によって録画が終了する常時録画型のドライブレコーダーです。
この常時録画型ドライブレコーダーは、上書きされないためトラブルに対して確実に対応できるメリットがあります。
運転中はずっと録画し続けるため、大容量の記録媒体が必要になりますが、現在では32GBのメモリーカードも手軽に入手できるので、長時間録画も可能になりました。
常時録画型の他に、近年ではあまり見かけなくなりましたが、衝撃感知型というタイプがあります。
この衝撃感知型タイプは、車に何らかの衝撃が加えられた事に反応して作動する仕組みになっています。
現在では、常時録画型に衝撃感知型の機能をプラスしたハイブリッドが人気を集めています。
ハイブリッドは、走行中常時録画しながら、衝撃を感知した前後10秒程を別ファイルに保存するタイプです。
また、多機能型と呼ばれるタイプには車線変更警告や速度超過警告、防犯カメラ機能がついています。
セパレート型と一体型の2つの形状
ドライブレコーダーを形状で分類すると、カメラとレコーダーが分離したセパレート型と、一体化した一体型とに分けられます。
セパレート型の場合は、カメラはフロントガラスの視界を遮らない所へ設置し、レコーダーはダッシュボードなどに設置するのが一般的です。
セパレート型は、直射日光などの影響を受けにくく、カメラの動作が安定するメリットがあります。
一体型は、フロントガラスに装着するタイプとルームミラーに被せるタイプの2種類があります。
ルームミラータイプは、視界を遮らずスッキリ装着できる反面、ミラーの反射で画面が見づらくなる事もあります。
また、カメラアングルによって分けると、前方撮影のみのドライブレコーダーと、前後とも撮影できるもの、360度撮影可能なタイプの3種類があります。
ドライブレコーダーの取り付け方法
前後タイプのドライブレコーダーの取り付けを、ディーラーやカー用品店などへ依頼すると、10,000円~20,000円の料金が発生するようです。
しかし、ドライブレコーダーの取り付けは、そんなに難しい作業では無いので自分で取り付ける事もできます。
強力両面テープでフロントガラスに貼り付けたり、ルームミラーを挟み込んだりするだけなので誰でも簡単に取り付けができます。
問題点をあげるなら配線をどう処理するかですが、それはみなさんの美意識によって変わります。
フロントガラスと運転席の窓の間のAピラーのカバーを外して中に配線を隠してもですし、クリップなどで固定して這わせても問題ありません。
ドライブレコーダーの取り付けでもっとも気を付けなければならないのが、フロント部分の取り付け位置です。
この取り付け位置を間違えてしまうと、違反になってしまいます。
ドライブレコーダーの取り付け位置
ドライブレコーダーの取り付け位置は、道路運送車両法の保安基準第29条によって定められています。
それによると、ドライブレコーダーの取り付け位置はフロントガラスの上部20%の範囲内、またはフロントガラスの下部15㎝以内の高さまでとなっています。
この範囲なら車検が通るのですが、注意点があります。
検査標章(車検ステッカー)に重なる場所や、ルームミラーよりも下の位置に設置すると車検が通らなくなる可能性があります。
また、雨や雪などでドライブレコーダーが隠れてしまうと意味がないので、ワイパーの可動範囲に設置する必要があります。
リアに関しては特に決まりはありませんが、ルームミラーから後方を確認した時に、邪魔にならない場所に取り付けましょう。
この範囲外に取り付けてしまうと、故意または故意じゃなくても保安基準に満たない車は全て不正改造車になってしまいます。
不正改造車になるとどうなる?
不正改造車になってしまうと色々と面倒なことが起きてしまいます。
車検が通らない
不正改造車になると、車検が通らなくなってしまいます。
車検が通らないと当然その車に乗ることはできなくので、再検査となるとまた車を持って行かないとならないため、非常に手間がかかってしまいます。
また、車検切れギリギリで車検を受けた時に再検査になってしまって車検が切れて、仮ナンバーを申請するなんて事になる可能性があります。
通報される可能性も
不正改造車は専用の通報窓口があるので、明らかにおかしい車を運輸局へ通報することができます。
通報されてしまったら後日、運輸局から警告のハガキが届き不正改造車を改修しその結果を報告しなければならなくなります。
不正改造車は車両保険が下りない
保険会社の車両保険の項目をよく読むと「不正改造及びそれに類する改造が原因で起きた事故などについては補償しない」と書かれています。
ドライブレコーダーが原因で事故が起きたという話はあまり聞きませんが、事故を起こした際に明らかに取り付け位置がおかしい場合に、保険会社から疑われる場合もあります。
不正改造による罰則
不正改造した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科され、不正改造車の所有者に対して整備命令が出されます。
整備命令は15日以内に必要な整備を行い地方運輸局に届けなければならなくなり、これに従わないと、50万円以下の罰金が科されてしまいます。
また、整備命令に従わない場合は自動車の使用が停止されてしまい、これに従わないと6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されます。
ドライブレコーダーの取り付け位置でこんなに罰則があるの?と思われますが、法律上全くないとは言い切れません。

まとめ
1ドライブレコーダーの最大のメリットは、事故発生時の客観的な状況証拠として、警察に提出できるという事です。
2運転手不在時の駐車場でのトラブル対策にもなり、車上荒らしや当て逃げにも反応し作動するので安心です。
3ドライブレコーダーを機能的に大別すると「常時録画型」「衝撃感知型」「多機能型」の3種類があります。
4形状は「セパレート型」と「一体型」の2種類があります。
5ドライブレコーダーは自分で取り付けできますが、取り付けでもっとも気を付けなければならないのが、フロント部分の取り付け位置です。
6故意または故意じゃなくても保安基準に満たない車は全て不正改造車になってしまいます。
7不正改造車になってしまうと「車検が通らない」「通報される可能性がある」「車両保険が下りない」「罰則がある」など面倒なことが起きてしまいます。