
近年人気が高まってきている電気自動車(EV)ですが、「電気自動車とはどういうものか?」と言う疑問に関して言えば、「電気で走る車」と言った漠然としたイメージしか思いつかない人も多いと思います。
電気自動車(EV)の購入を検討している人であれば、電気自動車の最大のメリットである「環境に優しい」と言う点だけで判断せずに、しっかりとデメリッも把握した上で購入を検討した方がいいと思います。
そこで今回は、電気自動車(EV)とはどういうものか?について解説していきます。
電気自動車(EV)とは?
電気自動車(EV)のEVとは、【Electric Vehicle】の頭文字を取った言葉になります。
ガソリンやガスなどの化石燃料を一切消費しないのが特徴で、環境意識の高まりを背景に国内外のメーカーで開発が進み、この数年で急速に普及してきています。
電気自動車(EV)の仕組み
電気自動車(EV)の仕組みを確認していきますが、自動車全般の仕組みと照らし合わせながら見ていきたいと思います。
まず、自動車が動くにはエネルギー源が必要になりますが、車の中にそれだけがあっても車は動きません。
ガソリンタンクに燃料が入っていようが、蓄電しているバッテリーを積んでいようが、それだけでは稼働不可能という事です。
したがって、エネルギー源だけではなくそれを動力へと変換する装置が不可欠となります。
その動力を生み出す装置というのが、従来のガソリン車の場合では「エンジン」にあたり、化石燃料を燃焼させて生じる爆発力をエンジンによって動力へと変換しています。
一方、電気自動車(EV)の動力機関に相当するものは「モーター」となり、モーターに送られた電気を自動車の動力へと変換しています。
駆動用バッテリー
電気自動車(EV)のエネルギー源である電気は、車内内蔵の「駆動用バッテリー」に蓄えられています。
駆動用バッテリーはいくつかのモジュールに分かれており、さらにその中に最小単位のセルという位置付けで電池が入っていると言う構造になっています。
そのため、駆動用バッテリーお大きさは、モジュールが○○個・バッテリー内にセルが総数○○個と言う意味合いで「○○モジュール○○セル」と表されます。
タイプによっては、モジュールとセルの間にセルのまとまりであるグループが設けられ、バッテリー内にグループが総数○○個と言う意味の表記が入るものもあり、この場合は「○○モジュール○○グループ○○セル」と表されます。
コンダクター
駆動用バッテリーには電気回路の開閉を行う「コンダクター」が内蔵されており、これが電気自動車(EV)のスイッチに相当するものになります。
インバーター
コンダクターの切り替わりで駆動用バッテリーに蓄積された直流電流は、高電圧ジャンクボックスを経由して「インバーター」へと至ります。
このインバーターで電気は直流から交流へと変換され、これがモーターを稼働させる事により動力が生み出されます。
この動力が、トランスミッション及びギヤを介して車輪に繋がる車軸に伝わり、電気自動車は走行可能となります。
バッテリーマネジメントユニット
駆動用バッテリーの接続先の一つとして「バッテリーマネジメントユニット」があり、これには安全かつ効率的に電気状態を制御・管理する働きがあります。
各メーカーの電気自動車(EV)の特徴
ガソリン車に燃料補給を行うガソリンスタンドがあるように、電気自動車にも燃料に相当する電気を貯めるための充電スポットが各所に存在します。
電気自動車には、スマホと同じリチウムイオン電池が使用されていますが、自動車の動力に利用するので当然ながらスマホとは比較にならない位多くの電気を消費します。
どれだけ多くの容量の電池を積み込めるかという「容積密度」、またいかに速く充電可能かという「充電速度」が電気自動車の性能を左右すると言えるので、バッテリーの性能という観点から各メーカーの特徴を見ていきます。
トヨタの電気自動車
国内メーカーの代表とも言えるトヨタですが、電気のみで走行する純電気自動車(BEV)については、未だ製品ラインナップにあがっていません。
ガソリンを燃料とするエンジン機構と駆動用バッテリー&モーター機構を併用したプラグインハイブリッドカー(PHEV/PHV)である【プリウスPHV】を取り扱っています。
日産の電気自動車
国産の電気自動車の牽引役として挙げられるのがは日産と言えるでしょう。
主力である【リーフ】は2010年の発売当初、バッテリー容量が24Kwhであったものがマイナーチェンジ・フルモデルチェンジを経て、2017年10月には容量40Kwhのバッテリーを搭載した【2代目リーフ】が発表されています。
発売から全世界で20万台以上が販売されており、世界で最も普及しているタイプの電気自動車です。
バッテリー容量40Kwhタイプの航続距離はJC08モードで400㎞となり、中距離運転をする人に適していると言えます。
三菱の電気自動車
三菱もまた、日産と同様に電気自動車に力を注いでいる国産メーカーと言えます。
三菱のBEVである【i-MiEV】のバッテリーは10.5Kwhと16Kwhの2種類があります。
特に10.5Kwhタイプは、通常のリチウムイオン電池より充放電性能に優れた東芝製SCiBが用いられ、15分の充電で容量の80%の蓄電が可能であり、充電速度を重視した方向性であると言えます。
カタログには「満充電時の走行距離は最大で120㎞」とあるので、これを電気に関してはより実走行に近い値を示す「EPA値」に換算すると、最大で67㎞走行可能なるので、充電容易さと併せて鑑みれば、1日の走行距離が50㎞未満の人に適してると言えます。
テスラの電気自動車
アメリカのテスラはBEV専門のメーカーで、初作品である【テスラモデルS】は1回の充電で航続距離500㎞であったことが示す通り、長距離用BEVを志向としたメーカーと言えます。
電気自動車(EV)のメリット
電気自動車のメリットとして『環境に優しい』『コストパフォーマンスが良い』『静粛性がある』『補助金・減税が適用される』の4つが挙げらるのでそれぞれ解説していきます。
メリット①環境に優しい
電気自動車(EV)を購入する人のメリットとは言えませんが、電気自動車(EV)としての最大のメリットは環境への負担を軽減する事です。
ガソリン車・ディーゼル車はエンジンを動かすと汚染物質を含んだ排気ガスを排出してしまいますが、電気自動車(EV)は二酸化炭素・窒素酸化物などの有害物質をまったく排出しません。
大気汚染が深刻な国の環境汚染への対策に積極的に取り組む国では、電気自動車(EV)比率の目標値を掲げるなど積極的な導入が進められています。
メリット②コストパフォーマンスが良い
同じ走行距離にかかる費用はガソリン代より電気代の方が安く、契約プランを見直して深夜に充電を行うといった利用方法などの工夫で、さらなるコストダウンが可能になります。
また、バッテリーに貯めた電力を走行以外にも活用できる車種もあります。
メリット③静粛性がある
ガソリン車ではモーターではなくエンジンを駆動させるため、音や振動の発生は避けられませんが、電気自動車(EV)はエンジンを搭載しておらずモーターとバッテリーだけで走行ができるため、ほとんど走行音はせずに静粛性に優れています。
メリット④補助金・減税が適用される
電気自動車(EV)を購入する場合は、国や自治体の補助金対象になる場合があります。
また、充電用コンセントやスタンドの工事費用に対しても、地域によっては補助金制度がある場合があります。
さらに、電気自動車(EV)では自動車税・重量税に対して自動車グリーン税制・エコカー減税などの恩恵が用意され、自治体によっては上乗せ優遇措置もあります。
なお、ガソリンにはガソリン税・石油税が発生しますが、電気のみを使用する電気自動車(EV)には、そのような税金がかからないと言う点もメリットとして考えられます。
電気自動車(EV)のデメリット
電気自動車(EV)にはさまざまなメリットがありましたが、当然デメリットもありますので、しっかり確認しておきましょう。
デメリット①充電スタンドが限られている
電気自動車(EV)は、ガソリンスタンドが普及して燃料の補填が容易なガソリン車・ディーゼル車と異なり、充電スタンドの普及が十分ではないため、外出先で充電スタンドがないなど燃料の補給が難しい場合もあり、充電切れを起こす可能性がある事も考えられます。
デメリット②充電時間が長い
ガソリンの給油であれば、ガソリンスタンドで数分で給油が完了しますが、電気自動車(EV)の充電には数時間単位の時間がかかる場合もあります。
急いで外出したい時などには、大きなデメリットになってしまいますので、充電の事を気にしていなくてはなりません。
デメリット③販売価格が高い
電気自動車(EV)は一般的なガソリン車よりも車両価格が高い傾向にあります。
そのため、電気自動車(EV)の購入を検討していながら最終的に断念した人の多くは、価格の高さを理由に断念しているようです。
デメリット④航続距離への不安がある
燃料を満タンにした状態から燃料がなくなり走行できなくなるのでまでの距離を「航続距離」と呼びますが、電気自動車(EV)は航続距離がガソリン車などの他の車両に比べて短い傾向にあります。
日頃から車をよく利用する人や、走行距離が多い人にとっては電気自動車(EV)の航続距離に不安を抱くケースが多いようです。
まとめ
電気自動車(EV)のメリット・デメリットなどを解説しましたが、いかかがでしたでしょうか?
環境にやさしく、補助金制度や税金面でのメリットは大きな魅力と言えますが、充電スタンドの数や充電時間、販売価格や航続距離などまだまだ課題が多いことも事実です。
電気自動車(EV)を購入する場合は、これらのメリット・デメリットを踏まえて、しっかりと検討してから購入することをオススメします。